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哺乳瓶が引き起こす口呼吸のリスクとその影響

■哺乳瓶が引き起こす口呼吸のリスクとその影響

赤ちゃんの成長を支えるために欠かせない哺乳瓶。

その使用が子供の発育に深刻な影響を引き起こす可能性があるのをご存知でしょうか?

 

人工乳は栄養学的に非常に優れており、ワンオペで忙しく子育てをなさっているお母さんがなかなか母乳を与えられない場合や補完的に使用する場合において、赤ちゃんの健康と成長に大きな力を発揮します。

しかし、哺乳瓶の使用が原因で「口呼吸」という悪習慣を誘発することもあるのです。

 

本コラムでは、そんな哺乳瓶の影響が赤ちゃんの成長発育や健康にどのように関わるかを詳しく解説します。

 

▼哺乳瓶の柔軟性の限界と「低位舌症」の問題

 

赤ちゃんがお母さんから母乳を飲む時、イラストのように舌をしっかりと上あごに押し付ける形で搾乳しています。

吸うのではなくて搾乳(さくにゅう)なのです。

まさに牛の乳しぼりと同じで、ここが大きなポイントです。

 

 

 

哺乳瓶の乳首は改良が重ねられ、柔軟性がかなり向上しているものの、お母さんの乳首の柔らかさ、変形性には及びません。

このため、赤ちゃんが哺乳瓶でミルクを飲む際に舌を正しく上あごに押し付ける動きが妨げられてしまい、舌が上あごにつきにくくなる「低位舌症」(ていいぜつしょう)を引き起こす可能性があります。

赤ちゃんはお母さんからおっぱいを飲むことによって栄養の摂取だけでなく、舌を上あごに正しくつけるための筋力も育てているのです。

 

◎低位舌症(ていいぜつしょう)とは?

 

低位舌症とは、舌が常に下がった状態になり、上あごにつきにくくなる状態を指します。舌は以下のように機能することが正しい状態です。

 

・食事や会話以外の時には、下図のように舌が上あごにしっかりと接している。

・唇を閉じて、鼻呼吸を行う。

 

 

 

舌が常に上あごにつかず下がったままだと、口を開けて口呼吸をする習慣が形成されやすくなります。

この舌の位置の異常が子供の成長を妨げる口呼吸への道を開くのです。

 

▼口呼吸が引き起こす健康への影響

 

口呼吸が習慣化すると、お子様の健康と発育に以下のような影響を及ぼす可能性があります。

 

◎歯並びへの影響

 

口呼吸は顎の発育に影響を及ぼし、歯並びが悪くなる原因となります。

特に、上あごが狭くなる「上顎狭窄」が起こりやすく、これが歯の並びに影響を与えます。横須賀市汐入駅前歯科の小児歯科では、こうした問題の早期発見と対策を行っています。

 

◎虫歯や歯茎の健康へのリスク

 

口呼吸によって口腔内が乾燥すると、唾液による自然な洗浄効果と抗菌作用が低下します。

この結果、虫歯や歯茎の病気が進行しやすくなるのです。

 

◎全身の健康への影響

 

口呼吸は身体への酸素摂取量の低下を招き、睡眠の質に悪影響を与えることがあります。

これにより、集中力の低下や成長ホルモンの分泌不足が生じる可能性もあります。

 

▼哺乳瓶使用における正しい対応

 

 

哺乳瓶の使用が不可欠な場合でも、適切な対策を取ることで口呼吸のリスクを減らすことができます。

 

◎哺乳瓶の選択

 

柔らかく、母乳の乳首に近い形状、柔らかさの哺乳瓶を選ぶことが重要です。

さらに舌が上あごにつきやすくする形状に工夫された哺乳瓶も販売されています。

Combi の「テテオ 授乳のお手本」はその一例です。

 

 

 

◎授乳後のケア

 

哺乳瓶で授乳した後は、舌の位置を意識的に整える練習を取り入れましょう。小児矯正の専門家による指導を受けることも有効です。

 

◎鼻呼吸を促す環境作り

 

日常生活で鼻呼吸を促す工夫をしましょう。例えば、唇を閉じる習慣を意識的に取り入れることが効果的です。

 

 

▼口呼吸が引き起こす影響

 

 

 

口呼吸は、お子様の成長発育や健康に深刻な影響を及ぼしています。

小児歯科や小児矯正の観点からも見逃すことのできない問題です。

ここでは、具体的な影響について詳しくご説明します。

 

  1. 脳への酸素供給の低下

 

口呼吸を続けることで、鼻呼吸に比べて脳への酸素供給が最大で40%減少すると報告されています。

脳は体内で消費される酸素の約25%を必要とする臓器であり、酸素不足は記憶力や集中力の低下、さらには学習能力の遅れを招く原因となります。

これにより、学校生活や日常生活においても不都合が生じる可能性があります。

 

 

 

 

  1. 発達障害や認知障害への影響

 

ドクターC.バーバラ博士の研究では、口呼吸をする子供は以下のような問題を抱えるリスクが高いことが示されています。

 

・注意欠陥多動性障害(ADHD)のリスク上昇

・記憶力や注意力の低下

・学習障害や感覚運動統合の低下

 

これらの症状が見られる場合、日常の行動や学業に影響を及ぼし、本人だけでなく周囲の人々にも大きな負担を与えることがあります。

 

 

  1. 顔や歯並びの形成への影響

 

口呼吸が続くと、舌が上あごに適切に接触しなくなります。この結果、上あごの成長量と成長方向に狂いが生じ、歯並びが乱れる原因となるばかりでなく、お顔の健全な発育にも問題が生じます。

 

お顔の代表的な変化は次の通りです。

 

・下顎が突出する。中顔面(=目の下から鼻にかけて)が成長しない為、結果として下あごが出ているように見える。

・顔が長くなる。上顎骨が後下方向に成長していくため実際に顔が長くなる。

・下あごが後方に下がる。上顎骨が小さくなるので下顎も抑制されて育たない

 

 

・笑った時に歯茎がくっきりと見えるガミースマイルになる。

 

お顔の不調和は放置すると進行していくため、早期の対策が必要です。

これらは小児矯正が必要になるケースが多く、横須賀で小児歯科をお探しの患者様には早期のご相談をお勧めします。

 

 

  1. 健康へのリスク

 

口呼吸は、鼻のフィルター機能が十分に働かなくなるため、細菌やウイルスへの感染リスクが高まるためインフルエンザやコロナにもかかりやすい傾向があります。

 

また、睡眠時の低位舌による気道閉塞により睡眠時無呼吸などの睡眠呼吸障害により睡眠の質が低下することによって日中に過度の眠気を感じるお子様は学習障害のリスクが10倍になるという研究結果もあります。

これにより、お子様の生活の質(QOL)や健康全般に悪影響を及ぼすことがあります。

 

 

▼日本における現状と課題

 

近年、日本の子どもたちにおける口呼吸の問題が注目されています。

新潟大学が行った全国疫学調査によると、「お口ぽかん」と呼ばれる明らかに口呼吸の子どもは全体の31%に及び、さらに上下の唇がうっすらと閉じずに開いて口呼吸をしている隠れ口呼の子どもも含めると約80%に上るという報告があります。

 

口呼吸は一時的な問題ではありません。病気ではないが健康ではない状態です。

放置すれば将来的にお子様が健康や歯並びに悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

 

口呼吸が引き起こす影響は多岐にわたり、虫歯や歯周病のリスク増加、舌や顎の発育不良、さらには集中力の低下や睡眠障害、脳の発育にまで及ぶことが知られています。

 

核家族化が進み育児が母親一人に大きく依存する現代社会において、哺乳瓶の使用は多くの家庭で避けられない選択となっています。

 

しかし、哺乳瓶の使用方法に注意を払うことで、口呼吸や低位舌症のリスクを軽減することが可能です。

 

また、横須賀でも、共働き家庭の増加により育児環境が多忙になる傾向が強まっており、こうした問題がさらに顕著になっています。

 

▼親ができる具体的な対策

 

お子様の口呼吸を予防し、健やかな成長をサポートするために、哺乳瓶を使用する際には以下の点に注意することをおすすめします。

 

  1. 乳首の選び方

 

哺乳瓶に取り付ける乳首の形状は、お子様の舌の動きや口腔内の発達に大きな影響を与えます。

特に、舌を上あごに押し付ける自然な動きを促すデザインの乳首を選ぶことが重要です。このような乳首を使用することで、舌の正しい位置を保ちやすくなり、口呼吸の予防に役立ちます。

 

 

2. 鼻呼吸を意識させる習慣づくり

 

お子様が成長する過程で、鼻呼吸を促す習慣をつけることも大切です。

例えば、遊びの中で「鼻から息を吸う」ことを意識させる練習を取り入れるのは効果的です。

  • 「忍者あそび」とは、他人に気づかれないように息をこらして鼻で静かにゆっくり静かに息をしながら忍び足で20歩、ゆっくりと歩くゲームです。小さなお子さんも楽しみながら鼻で呼吸することを学ぶことができます。
  • お風呂で口を閉じてハミングをするのも鼻呼吸を覚えるために効果的です。

鼻呼吸を意識させる工夫をしてみてください。

 

  1. 定期的な小児歯科受診

 

横須賀エリアにお住まいの方は、近隣の小児歯科や小児矯正専門医を訪れ、お子様の口腔内の状態を定期的にチェックしてもらうことをおすすめします。

 

汐入駅前歯科では低位舌症や口呼吸の兆候がないかを確認するために「小児口腔機能発達不全症」の検査を健康保険で実施しています。

「小児口腔機能発達不全症」という病名は、口呼吸によって、病気ではないが健康ではない子供たちが急増していることを国が問題視して保険適用としたものです。

横須賀市では医療証があれば、費用がかかりませんので早期の受診と対策をお勧めいたします。

 

 

▼まとめ

 

今回は、哺乳瓶が引き起こす口呼吸のリスクとその影響について、横須賀の汐入駅前歯科が解説しました。

 

哺乳瓶は赤ちゃんの成長に欠かせないツールですが、その使い方次第では成長発育に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

特に、口呼吸は子どもの健康や学習能力、顔の成長に多大な影響を及ぼすため、そのリスクを軽減するための対策を講じることが必要です。

 

赤ちゃんの健全な成長を最優先に考え、哺乳瓶の正しい使い方やその影響について知識を深めていくことが重要です。

将来の健康と幸せのために、今できることを始めましょう。

 

以上お伝えしてきた、鼻呼吸のがお子さんの成長発育にとっていかに大切か、ということをユーチューブ動画でわかりやすく解説しています。

鼻呼吸の大切さをご理解いただくためにもぜひご視聴ください。

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