小児歯科治療について
4月になり緊急事態宣言により、不要不急の外出自粛が続いております。そして、今現在も、医療現場で対応している方々に感謝いたします。
医療法人社団SED 汐入駅前歯科 歯科医師の熊谷です。
お子様と自宅で過ごす時間が増え、ご家族で口腔ケアの時間も更にとっていただけたらいいなと思います。
今回は、私自身が行っている小児歯科治療についてです。
私自身、子どもと向き合い治療を心掛けていることを紹介したいと思います。
最初に述べておきますが、子どもの成長発育は個人差があります。以下の内容は、一般的に言われていることとご理解いただければと思います。
・3歳未満児は、一般的に治療に対して非協力的です。術者との会話は簡単な内容でなければ困難な場合が多いです。見慣れない物や人に対して拒否します。
・3歳~4歳児は言語の発達が著しく術者の話を十分に理解できます。過去の経験で医師に対して恐怖心が生まれやすい。物事に対して理解が深まることで不安、恐れも強くなってきます。
・5歳~6歳児は更に言語表現能力が発達し術者の話が理解できます。この時期は、具体的な経験の恐れが強くなります。例えば、注射や歯を抜くことに対して情動変化が現れます。
身体に危害が加わることに敏感となり不安感も感じます。
・7歳以上は理解力がさらに増し、術者による説明は効果的です。脳神経の発達が進んでいる時期です。そのため想像による不安や恐怖が増大します。低年齢から治療を継続してきた子どももこの時期に不安感が増大することもあります。
各年齢、共通して歯医者は怖い場所、先生は怖いという印象を与えない治療を心掛けています。
治療前に緊張している子どもに笑顔で話しかけコミュニケーションをとります。
初めて治療する場合は、想像や恐怖体験を与えるため、すぐに治療しないことが多いです。
虫歯治療にどういう器具を使用し、どうやって治療していくかまずはトレーニングから行います。
実際に子どもに見せて水を出したり、触らせてあげたりして恐怖心を和らげてあげます。この時点で治療できる子もいますが、なかなか難しい子は口を開けて、ブラシで磨くことから始めます。
そして次回から治療開始しますが、難しいときは繰り返します。押さえつけての無理やりの治療はしません。
麻酔や乳歯を抜く場合は、子どもは針や怖い見た目の器具に恐怖を抱きやすいので、子どもに見せないようにしています。声掛けする時は、「痛くないよ」、「すぐ終わるよ」、「頑張れ」などは言わないようにしています。
「痛くないよ」と言うと治療前から痛いことされるのかな。痛いのかな。などと想像し、恐怖心が芽生えます。また痛かった時、子どもに嘘ついたことになります。
同様に、「すぐ終わるよ」の声掛けでは、子どものすぐ終わると術者のすぐという時間に差がある時、子どもにとって、すぐ終わらないとこれも術者が嘘ついたことになります。
子どもからの信頼を失うことにつながります。本当に早く終わった時に初めて、「上手にできたからすぐ終わったよ」と言ってあげるようにしています。
「頑張れ」は、子どもは、じっとして口を開けていることはもうすでに頑張っています。これ以上の頑張れということは控えています。
「すごく頑張っているね」と褒めてあげています。褒める時は、「大きな口開けるの上手だね、お口開けるお手伝いしてくれて助かるよ」など具体的に褒めてあげるようにしています。
子どもの時の体験は大人になっても覚えています。子ども、大人関係なく歯医者に行くことは怖いと思われない治療を心掛けたいと思います。