症例
医療法人社団SED 汐入駅前歯科、歯科医師の中山です。
8月もあと少しですね。自粛ムードで外出しないというよりは、暑くて外出したくない今日この頃
です。みなさんはいかがお過ごしでしょうか?
今回も1症例載せたいと思います。
歯肉が腫れていてかぶせものと歯肉の間に物がつまる事を主訴とした患者様でした。
治療前の口腔内写真です。
奥から(左から)2番目の歯の歯茎に腫れを認め、かぶせものと歯茎の間が黒く虫歯になっていることが分かります。歯肉が一部黒くなっている所はメタルタトゥーといって、金属の土台やかぶせ物から金属イオンが溶出し、歯肉に沈着することで起こるとされています。
次に、レントゲン写真です。
左から2番目の歯が腫れている歯になります。
黄色の範囲で根の先が黒っぽくなっていて、細菌が炎症を引き起こしている状態が
うかがえます。
かぶせものの下も黒くなっている部分があり、虫歯になっていることを疑います。
症状を改善させていくためには金属のかぶせ物と土台を外し、虫歯を除去して根の中をキレイにお掃除していくことが必要になります。
ただ今回の歯は、大きい金属が入っていました。青い範囲が金属部分です。歯根の股のあたりギリギリまで金属が入っているため、もともとの歯質はかなり薄くなっています。奥歯は咬む力もかかる歯です。歯根や歯質の薄い部分が破折していたり、虫歯が大きい等、状態が悪ければ抜歯もあり得ることをご説明させていただきました。その上で治療希望されたため、診させていただくことになりました。
金属、虫歯、根の中の古い詰め物を取り除き、しっかりお掃除できているか確認した時のレントゲン写真です。幸い、確認できる範囲で破折は無く、薄い部分の歯質もギリギリ残せました。
根の中に新しいお薬を詰めた時のレントゲンです。
土台を立てて仮歯で経過を診ている時のレントゲン写真です。
経過を診ている間に、手前2つの歯の金属の下も虫歯や段差になっている部分があったため治療していきました。
約半年経過を診た時のレントゲン写真です。
根の先の黒かった部分もだいぶ薄くなって、骨が戻ってきています。
最終的にセラミックのかぶせものを入れた時の口腔内写真です。
歯茎の腫れも落ち着いています。今のところ、経過も良好で一安心です。
同じように腫れがある歯でも、金属を外してみると今回の歯とは異なり、破折が確認される等、状態が悪いケースも少なくありません。その場合抜歯をお勧めすることもありますが、まずは丁寧に金属や虫歯を取り除いてその歯の診断をしていくことが大事だと思います。
最後に術前、術後の比較写真を載せます。左が術前で、右が術後です。
今回のように腫れや、物が詰まるだけでなく何か症状がありましたら、気軽に相談していただけたらと思います。