口呼吸をしていると子供の知能指数IQが下がるのはなぜか?
こんにちは!
医療法人社団SED、理事長の
山口和巳です。
【口呼吸をしていると子供の知能指数IQが下がるのはなぜか?】
このテーマをみるとちょっとギョッとしますよね?
呼吸と知能指数IQ。
全く関係なさそうだけど、実は呼吸と脳の発育には密接な関係があります。
『口をあいている子供は知能指数IQが年に5~10低下する』
オーストラリアで30年以上にわたり歯科矯正専門医として子供たちの歯ならび治療にかかわってきたDerek Mahony博士の研究結果です。
オーストラリアでは口呼吸が子供の成長発育に及ぼしている弊害に着目した結果、小学校就学時検診では「メディカルエアウェイ制度」という「鼻呼吸が出来るか」確認する検査があるほどです。
知能指数IQが下がるというのは、もう少し丁寧に説明すると「わが子が到達できる本来の知能指数IQに届かなくなる」ということ。
子供が持つ無限の可能性に蓋をしてしまう可能性があるということです。
親として子供が持つ無限の可能性を信じて寄り添い、支援していくこと。
それはお子さんの幸せだけでなく、私たち親の幸せにもつながることかもしれません。
口呼吸と鼻呼吸。
いったい何が違うのでしょうか。
「そんなことわかっている。吸って吐き出す場所が口か?鼻の穴か?の違いでしょ。」
その通りです。
これがお子さんの身体にとても大きな違いを生み出しているのです。
口と鼻ではどちらが呼吸しやすいでしょうか?
口です。
なぜならば圧倒的に口の方が鼻の穴よりも大きいからです。
口の方が一度にたくさん吸えてたくさん吐きだすことができるので圧倒的に楽なのです。
しかし、この口呼吸がお子さんの身体の成長発育にとって大きな負の影響を与えています。
大きな大きな落とし穴があります。
なぜでしょうか?
「食べすぎ、飲みすぎ」は身体に悪い。
これはよく言われていることで異論はないと思います。
生活習慣病の原因です。
「空気の吸いすぎ」も体に悪い。
これは初めて聞く言葉かもしれませんが事実です。
口からたくさん空気を吸えば、吸った分だけたくさん吐き出すことになります。
吐き出すのはなんでしょうか?
二酸化炭素ですね。
たくさん二酸化炭素を吐き出すことになります。
たくさん二酸化炭素を吐き出すことが体に大きな問題を引き起こすことになります。
「え!?二酸化炭素って吐き出すものじゃないの?」って思いますよね。
もちろん吐き出すものです。
しかし出しすぎも良くありません。
二酸化炭素は血管の血液の中でとても大切な役割をしています。
吸った酸素は肺から血管に入り、血液のヘモグロビンをくっついて運ばれていきます。
そして酸素を必要としているところに来ると、酸素はヘモグロビンから切り離されて酸素を必要としている組織に移動します。
この時、酸素とヘモグロビンを切り離す大切な役割をしているのが二酸化炭素です。
二酸化炭素がヘモグロビンと酸素を切り離すのに必要量なければ酸素とヘモグロビンは切り離されずに血液の中にとどまることになります。
その結果、酸素を必要としている組織に移動することができずに組織は酸素不足の状態になってしまいます。
酸素は血液の中にあるにもかかわらず。
口呼吸で二酸化炭素を口からたくさん吐き出してしまうと血液は二酸化炭素が足りない「低
炭酸症」(ていたんさんしょう)という状態になります。
低炭酸症の急性症状(発作)が過呼吸です。
過呼吸になると呼吸が浅く、速くなり、息苦しくなる状態。うまく呼吸ができず、「窒息してしまう…!」とパニックになり、さらに苦しくなってしまうこともあります。
血液中の二酸化炭素が極度に不足している状態なので、急性症状が出た時にはあわてずにビニール袋などを口に当てて、吐き出した二酸化炭素を再度吸い込い戻すことで血液中の二酸化炭素濃度を上げてあげることで落ち着いてきます。
このように口呼吸をしていると組織への酸素供給が減少します。
私たちの身体の中で最も酸素を必要としている組織はどこでしょうか?
答えは脳です。
脳の重さは体重の2%程度と言われています。
体重60Kgの人ならば1200gほどです。
その脳が吸った酸素の25%を脳が消費しています。
酸素を大量に必要としているのが脳なのです。
特に脳の細胞と細胞をつなぐシナプスが増加し続けている年齢、男の子11歳、女の子12歳までは特に酸素が必要です。
しかし、口呼吸をしていると脳への酸素供給量が確実に不足します。
脳への酸素供給不足が知能指数IQの増加に影響を与えることは十分に考えられます。
お子さんが本来持っている素晴らしい能力に蓋(ふた)をすることなく健全な成長発育を支援するためにも、口呼吸から鼻呼吸への早期の改善が望ましいと思います。
しかし、口呼吸から鼻呼吸に改善することは簡単なことではありません。
なぜならば口で呼吸している時に使っている呼吸筋と鼻で呼吸している時に使っている呼吸筋が異なるからです。
呼吸に使う筋肉を切り替えることが、口呼吸から鼻呼吸に変えるということ。
とても大変なことなのです。
例えるなら左ききを右ききに変えるくらい大変です。
口呼吸から鼻呼吸に効果的に改善していくシステムがこども矯正『マイオブレイス』です。
- 専用のマウスピースを起きている時に1時間装着
- スマフォでトレーニング動画を観ながら呼吸に使う筋肉を切り替えていくための筋機能トレーニングを毎日5分間行う
- 就寝時に専用のマウスピースを装着する。
この①、②、③を毎日習慣化することで効果的に呼吸を口呼吸から鼻呼吸に改善することが可能になります。
呼吸の改善には早いお子さんで4か月、通常6か月かかります。
子供が口呼吸から鼻呼吸に改善する必要性を示すデータがあります。
下のグラフは1950年~1975年、小児の扁桃腺除去手術が減収するにつれて注意欠陥多動相と診断された子供が増加していったことを示しています。
口呼吸をしているとなぜ扁桃腺がなぜ肥大していくのでしょうか?
きちんと鼻呼吸していれば空気中の汚れ、つまり細菌やウイルス、チリなどは鼻腔でろ過されてきれいな空気が肺に流れ込みます。
しかし、口から吸えばろ過されることなく汚れた空気が肺に入っていってしまう。
細菌、ウイルス、チリが肺に入っていく。
人間の身体はそれを防ぐために扁桃腺を肥大化させのどをせまくする。
口から肺への吸気の流入を防いでいく生体の防御反応。
つまり、口から空気を吸いずらいようにしていくわけです。
「口から吸いずらくなったなら鼻から吸えばいいじゃないか?」
と考えますよね。
しかし、前に述べたように、口呼吸と鼻呼吸では呼吸に使っている筋肉が違うので、口呼吸していた人が突然、鼻呼吸に変えることはできません。
すると、のどが狭くなり、空気が吸いずらくても口で呼吸をし続けるため身体に入ってくる酸素自体が減少します。
その結果、脳への酸素供給量が著しく減ってしまう。
脳細胞が著しく増加していく5歳の間、さらに脳細胞と脳細胞をつなぐシナプスが著しく増加していく男の子11歳、女の子12歳までの間に脳への酸素供給が減少したならば問題が生じることは十分に考えられるでしょう。
2021年に新潟大学が発表した疫学調査によると、日本の子供の31%が完全な口呼吸をしています。つまり誰がみても口を開けて呼吸をしている「お口ぽかん」です。
しかし、上唇と下唇が閉じずにわずか1mmでもあいていれば口呼吸です。
これを隠れ口呼吸(かくれくちこきゅう)と言いますがわかりにくいために見逃すことが大変多いです。
この疫学調査では口呼吸を「自然に治癒することがない病気」と位置付けています。
つまり、口呼吸によって多くの病気がもたらされていると言っています。
子どもたちはすばらしい無限の可能性を秘めて生まれてきています。
口呼吸をすることによって、子供が持つ素晴らしい能力に蓋をしないためにも、健全な鼻呼吸を身につけさせてあげたいものです。