歯周病とは? PERIODONTICS
歯周病とは、歯周病菌が歯茎や歯茎の下にある歯を支えている骨まで侵入し、骨を溶かしていく病気です。歯周病菌が歯茎の中へ侵入し炎症を起こすと、赤く腫れたり出血したりするようになります。
さらに進行していくと、歯茎の下にある骨にまで炎症は進み、どんどん骨を溶かしていってしまうのです。そして溶けた骨は二度と元に戻ることはありません。
歯周病は出血や違和感、口臭などの特徴はあるものの、痛みがなく進行していくため、気づかないうちに重度の歯周病になっているケースも多いです。
歯周病治療
歯周病の進行 PERIODONTITIS
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GINGIVITIS 歯肉炎
歯周病菌によって歯茎が赤くなったり、歯ブラシの時に少し出血したりします。まだ骨への影響はなく、歯ブラシを丁寧にきちんと行なっていけば、健康な歯茎に戻すことも可能です。しかし、この時点では症状が少ないため、歯肉炎であることに気づきずらく、少し出血したなと思っても放置し、症状が進行してしまう方が多いです。
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MILD PERIODONTITIS 軽度歯周炎
歯肉炎よりも歯茎がさらに赤みを増し、出血しやすくなります。また、歯を支えている骨が少しずつ溶かされていき、歯周ポケットが少しずつ深くなっていきます。
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MODERATE PERIODONTITIS 中等度歯周炎
歯茎の炎症や骨の崩壊がますます進行していきます。
歯周ポケットもさらに深くなっていくため、歯茎の中に歯石が認められる場合もあります。歯を支えている骨の溶け方も深刻となり、歯が少しずつ動くようになってきます。 -
SEVERE PERIODONTITIS 重度歯周炎
歯茎の腫れが重度なのはもちろんですが、歯を支えている骨がかなり溶けてしまい、グラグラで噛めない場合もあります。ここまで進行してしまうと改善が望めず、最悪の場合には抜歯せざるを得ないこともあります。
歯周病治療の流れ TEXT
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EVALUATION 歯周基本検査
歯茎の歯周ポケットの深さや出血、動揺の有無を検査していきます。また、レントゲン写真を撮影し、目視での確認ができない骨の下がり具合など、状況をチェックしていきます。
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SCALING 歯周基本治療
お口の中に存在するプラークや歯石を徹底的に除去していきます。口腔内環境が少しずつ改善することにより、患者様自身も変化に気づき、セルフメンテナンスへの動機付けにもなります。
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RE-EVALUATION 再検査(1回目)
歯周基本治療が終了した後に、歯周ポケットの深さや出血、動揺の有無を再度検査していきます。そして、基本治療前からどのように変化したかを比較し、歯周治療がまだ必要なのか、メンテナンスへと移行できるのかを判断していきます。
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SURGICAL PHASE SRP・歯周外科処置
再検査後、もう少し歯周治療が必要と判断された場合には、歯茎のさらに奥のプラークや歯石の除去(SRP)を行い、歯茎をめくり歯の根っこを目視できるようにして、プラークや歯石の除去(歯周外科処置)などを引き続き行っていきます。
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RE-EVALUATION 再検査(2回目)
SRPや歯周外科処置後、歯茎の改善を数週間ほど待ってから、歯周ポケットの深さや出血、動揺の有無について改めて細かく検査していきます。
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MAINTENANCE メンテナンス
歯周治療が完了したからといって、そこで終わりではありません。引き続き、メンテナンスを定期的に行っていくことで、健康な口腔環境を保ち続けることができるのです。また、患者様自身で行う正しいセルフメンテナンスを覚えて頂き、実践し続けていくことが歯周病予防には何よりも大切なのです。
歯周病の治療法
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ブラッシング指導
歯周病予防は歯科医院で行う治療のみならず、日々のブラッシングが最も重要となります。ただ磨けば良い訳ではなく、患者様お一人おひとりの口腔内環境に合った正しい磨き方が重要なため、丁寧に分かりやすく指導します。
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スケーリング
歯科医院専用の機械を使用して歯石を除去していく治療法です。歯石は歯ブラシでは落とせず、徐々に溜まっていくことがあります。歯石が溜まると歯周病の進行につながるため、定期的なスケーリングが必要になります。
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SRP
スケーリングによって歯周病が改善しなかった場合、専用の機材を使用して、歯茎のもっと奥の歯垢や歯石を除去していく治療方法です。麻酔をし、患者様に痛みを感じさせない状態にしてから丁寧に行なっていきます。
進行してしまった方に対する
歯周外科
SURGICAL INTERVENTION
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フラップ手術
歯周病が歯周基本治療によって改善しなかった場合に行う外科的な治療方法です。処置の流れとしては、まず歯茎を切開し、根っこの部分を露出させます。そして、専用の機材を使用して根っこに付着した歯垢や歯石などの汚れを徹底的に除去していきます。その後、歯茎を元の状態で縫い合わせ、終了となります。
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歯周再生治療
歯周病によって崩壊した歯茎や骨を、専用の薬液を塗ったり、膜を設置したりすることによって再生させる方法です。歯周組織が大きく溶かされてしまった場合に行います。あまりに重度な歯周病で、今にも抜けてしまいそうな歯の場合にはできない治療方法です。
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遊離歯肉移植術
歯周病などで失われてしまった角化歯肉を、別の箇所から移植することで回復する外科的な治療方法です。角化歯肉とは、主に歯茎の根元に存在する硬い丈夫な歯茎のことで、インプラントや補綴物を維持するためには欠かせない組織になります。
歯周病はお口の中だけの
病気ではありません
歯周病は、歯や歯茎だけの問題と思っている方は多いのではないでしょうか。しかし、実際のところ、歯周病菌はお口の中の血管から入って全身に巡り、さまざまな全身疾患などの影響を与えます。最悪の場合、死に直結してしまう病気にもなりかねないほど、歯周病はとても怖い感染症なのです。
こんな疾患に注意 CAUTION
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糖尿病
糖尿病は歯周病と相互に悪影響を与え合う疾患です。
そのメカニズムは、歯周病の炎症物質が血糖値を抑えるホルモンを阻害するというものです。糖尿病になると唾液が減少し、歯周病菌の働きが活発になるため、負のスパイラルのように糖尿病と歯周病が互いに悪化するおそれがあります。
しかし、これは逆を言えば、歯周病を改善させれば糖尿病の改善が期待できるということでもあります。 -
血管障害
歯周病菌は口腔内のみにとどまるイメージがありますが、実際はお口の中の血管を通して体全身に運ばれているのです。
全身に運ばれた歯周病菌は、脳の血管や心臓の血管に張り付き、血管を狭くしたり、血流を悪くしたりして脳梗塞や心筋梗塞などを引き起こす原因になります。 -
早産・低体重児出産
歯周病に罹患している妊婦さんは、早産や低体重児出産のリスクが高くなります。それは、胎盤を通して赤ちゃんが歯周病菌に感染するためです。
歯周病は、タバコやアルコールを摂取するよりもはるかにリスクが高いと言われていますので、妊娠を希望している方、現在妊娠している方は大切な我が子を守るために、歯科医院へ行って歯周病の検査を受けましょう。 -
誤嚥性肺炎
通常は食道に入っていく食べ物が、誤って気管や肺に入ってしまう症状を誤嚥といいます。飲み込む機能や免疫機能が衰えた高齢者の方が食べ物を飲み込むと、同時に歯周病菌なども肺や気管へ入ってしまい、誤嚥性肺炎を起こすことがあります。
誤嚥性肺炎を予防するためには、食事はゆっくりと行うことと、歯周病の治療を行うことが大切になります -
認知症
歯周病が進行すると、歯周病菌は口腔内の血管を通して全身を巡ります。このとき、脳まで運ばれていった細菌が、脳の血管を詰まらせたり、炎症を引き起こしたりすると認知症の原因となります。すでに症状がある場合は、悪化を招くおそれもあります。
定期検診の必要性
患者様の大切な歯を守り、毎日楽しく美味しくお食事をするためには定期検診がとても大切です。
毎日のセルフメンテナンスを正しく行って頂くことと並行して、3ヶ月に一度、定期的に歯科検診を行うことで歯周病の予防や虫歯の早期発見などが期待できます。
定期検診を怠り、歯周病や虫歯が重度になってからでは治療期間や治療費などの負担も大きくなります。そのためにも、定期的に歯科検診を受け、健康な歯を維持し続けていきましょう
汐入駅前歯科で受けられる
4つの予防処置
ブラッシング指導
患者様の口腔内の状態に合わせ、丁寧で分かりやすいブラッシング指導を行っています。患者様自身がご自宅で正しくセルフメンテナンスできるよう、歯磨きの持ち方、歯ブラシの当て方、手の動かし方などを説明します。患者様に効率的な磨き方をマスターしていただくことが目標です。
SPTⅡ
歯周病治療後に再発しないよう、健康な歯茎を維持することを目的として行われる定期検診やクリーニングを「SPTⅡ」といいます。プラークや歯石の除去によって口腔内から歯周病菌を徹底的に排除し、口腔内環境を安定させていきます。
PMTC
PMTCとは、「プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング」の略で、分かりやすく言うと、歯科医師や歯科衛生士の専門的な人が行うクリーニングです。クリーニング専用の機械を使用し、歯石や歯垢を除去した後、歯面を磨く機械で歯の表面を磨き、汚れを付きにくくします。
フッ素塗布
フッ素を歯に応用すると、歯質強化や歯の再石灰化、虫歯菌の抑制などの働きが期待できます。ご自宅でフッ素入りの歯磨き粉を使うことで、虫歯予防を図ることができますが、歯科医院ではさらに濃度の高いフッ素を歯に塗ることで、より強い効果が期待できます。
お口のリスクを見極める
唾液検査
唾液を使用して、虫歯にかかるリスクを評価する検査を実施しています。唾液を採取して専用の用紙に垂らし、唾液の量や緩衝能、細菌数などを評価していきます。それらを評価することで、患者様にご自身の虫歯リスクを理解していただき、患者様お一人おひとりに合った虫歯予防対策をしていきます。
さまざまな予防法 PROPHYLAXIS
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エアフロー
ミクロパウダーを出しながら頑固な茶渋や着色を除去していく「エアフロー」という機械を導入しております。コーヒー・紅茶などによる着色や、タバコの頑固なヤニなどを短時間で痛みなく落とし、歯の持つ本来の白さへ導いていきます。
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位相差顕微鏡
位相差顕微鏡を使用して口腔内細菌の種類や量等を観察、患者様にもご覧頂きながらセルフメンテナンスの重要性についてもご説明します。
口腔内には500~700種類の細菌が生息しており、これらの口腔内細菌が歯周病や虫歯といった歯を失う原因となるのです。